「80’sエイティーズ」 橘玲著

公開日: 更新日:

「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」などに代表される投資や経済をテーマにした指南書や「マネーロンダリング」などの小説で定評のある著者による、初めての自叙伝的エッセー。

 何をやるべきかを模索していた大学時代を経て、日本がバブル期へとかけのぼっていった80年代、その崩壊を目撃した90年代に至るまでの時期を、著者の青春と重ね合わせながらつづっている。

 大学でロシア文学を専攻したがために就職先がなかなか決まらなかったこと、マクドナルドのバイトで出会ったある人の一言をきっかけに出版社に職を見つけたこと、ティーン雑誌の編集長時代、出版差し止め仮処分事件や差別表現についての体験、オウム真理教の地下鉄サリン事件の余波など、個人の回顧録にとどまらず、80年代の日本の空気を世の中の動きとともに紹介していく。

 海外宝くじビジネス、ドラッグカルチャーなどにも触れられており、著者の視野の広さの秘密を垣間見ることができる。(太田出版 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」