「ダブルマリッジ」橘玲著

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 商事会社に勤める桂木憲一は、パスポートの期限が切れてしまったことに気づき、娘に戸籍謄本を取ってきてくれるよう頼んだ。

 ところが、その戸籍謄本の婚姻欄には妻の名と並んで「ロペス・マリア」というフィリピン女性の名前が。戸籍を乗っ取られたのではないかという妻は、警察に被害届を出すべきだという。

 事実関係を調べるため市役所に出向いた憲一は、フィリピン政府が発行した婚姻証明書が、数年前に提出されていることを知る。

 家族の前では心当たりがないと言っていた憲一だったが、実は妻と出会う前に赴任したフィリピンで、マリアという女性と、下町の小さな教会で愛を誓った過去があった。たった1カ月しか続かなかった関係だったのだが、彼女はなぜ、最近になって届けを出したのか――。

「マネーロンダリング」でデビューして以来、特に金融小説の分野で人気の高い著者が「国籍」というテーマに挑戦。婚姻を利用した日本国籍取得の実態がよく分かる。(文藝春秋 1500円+税)

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