「戦国大名・伊勢宗瑞」黒田基樹著
「戦国大名の魁(さきがけ)」といわれる北条早雲(伊勢早雲庵宗瑞)は、出家前の名は伊勢新九郎盛時であったことが最近の研究で判明した。盛時は備中伊勢氏の庶流、盛定の次男で、姉の北川殿は駿河国守護今川義忠の正妻である。北川殿は義忠の死後、当時4歳の嫡子、竜王丸に家督を相続させようとする。
ところが、家中で義忠の従弟、今川小鹿範満を擁立する動きがあり、内乱状態に陥った。この内乱に範満の祖母の実家、扇谷上杉家が介入、家宰の太田道灌が駿河に進軍し、竜王丸方を破る。このとき、盛時が道灌と交渉して範満を引退させ、竜王丸に家督を継がせたとされているが著者は経緯が整合しないとみる。
通説を覆し、北条早雲の実像に迫る評伝。 (KADOKAWA 1700円+税)