「戦国大名の危機管理」黒田基樹著

公開日: 更新日:

 戦国屈指の名君といわれる北条氏康の領国経営を検証した歴史テキスト。

 天文10(1541)年、家督を相続した氏康は、領国内の検地を行う。同時に、村に対する年貢などの賦課額を算出するための基礎となる「村高」や、家臣の知行高など、性格の異なる社会的富を「貫高」という銭貨の単位である貫文で統一的に表示。大名と村は、現代人が考えるような搾取する側とされる側の関係ではなく、村は政治的主体として存在し、大名と対峙していたという。「村請」と呼ばれるこうした体制を確立した北条氏は、村を対象に直接文書を発給する「印判状」という新しい文書様式も生み出した。

 初めて民政を行い、敵の侵攻や飢饉などの危機を乗り越えた氏康の領国経営の秘密に迫る。

(KADOKAWA 840円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋