「花と昆虫、不思議なだましあい発見記」田中肇・文 正者章子・絵
人間は花と昆虫の関係に「共生」という言葉を思い浮かべがちだが、両者の間にはもともとそんな契約はなく、花は己の利益のために咲き、昆虫も子孫の繁栄のために花を訪れているだけで、時に利害が衝突する。本書は、そんな花と昆虫の関係を読み解く面白テキスト。
長い柄の先に花粉袋がついているユリの雄しべは掃除機の吸い込み口のような形をしており、これを蜜を吸いに来たアゲハチョウ類の羽に押し付ける。こうしなければ防塵・防水の効果にすぐれた鱗粉に守られたチョウの羽に花粉がつかないからだ。他にも、花びらの一部や匂いをメス蜂に似せてオス蜂を交尾に誘い出し、花に抱きつかせ花粉を媒介するランなど、花と昆虫の駆け引きから驚くべき花の生態に迫る。
(筑摩書房 800円+税)


















