「歴史の中で語られてこなかったこと」網野善彦、宮田登著

公開日: 更新日:

 歴史学と民俗学の泰斗による対談集の復刻版。

 まずはアニメ映画「もののけ姫」を話題に、「山民(さんみん)」の存在に言及。宮田氏によると、戦国末期から近世初期にかけて山を生活の場にしていた山民が里に下り、平地民となった一方で、平地民も山に入り、その人的交流の要に都市が生まれたという。網野氏は、江戸時代の制度がそうした都市を村にしてしまったと指摘。秀吉の時代から江戸に至る過程で町を村にするという社会再編の意思が権力側にあったのではないかという。その田畑の制度の中に、山民や漁民を組み入れたのだそうだ。他にも、古代・中世では男が担当する農業と、女性が担当する養蚕が厳密に分けられていたなど、権力者ではなく、女性や子供、老人に注目して歴史を読み解く。

(朝日新聞出版 900円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    横浜流星「べらぼう」ついに8%台に下落のナゼ…評価は高いのに視聴率が伴わないNHK大河のジレンマ

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  5. 5

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  1. 6

    元横綱白鵬が突然告白「皇帝の末裔」に角界一同“苦笑”のワケ…《本当だったらとっくに吹聴しています》

  2. 7

    元横綱白鵬 退職決定で気になる「3つの疑問」…不可解な時期、憎き照ノ富士、親方衆も首を捻る今後

  3. 8

    阿部巨人の貧打解消策はやっぱり助っ人補強…“ヤングジャイアンツと心中”の覚悟なし

  4. 9

    山本舞香は“ヤンキー”より“令嬢”がハマる?「波うららかに、めおと日和」《ふかふみコンビ》で人気急上昇

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも