「歴史の中で語られてこなかったこと」網野善彦、宮田登著

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 歴史学と民俗学の泰斗による対談集の復刻版。

 まずはアニメ映画「もののけ姫」を話題に、「山民(さんみん)」の存在に言及。宮田氏によると、戦国末期から近世初期にかけて山を生活の場にしていた山民が里に下り、平地民となった一方で、平地民も山に入り、その人的交流の要に都市が生まれたという。網野氏は、江戸時代の制度がそうした都市を村にしてしまったと指摘。秀吉の時代から江戸に至る過程で町を村にするという社会再編の意思が権力側にあったのではないかという。その田畑の制度の中に、山民や漁民を組み入れたのだそうだ。他にも、古代・中世では男が担当する農業と、女性が担当する養蚕が厳密に分けられていたなど、権力者ではなく、女性や子供、老人に注目して歴史を読み解く。

(朝日新聞出版 900円+税)

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