「遊王 徳川家斉」岡崎守恭著

公開日: 更新日:

 第11代将軍・家斉は、山のような側室を抱え、50人以上の子どもをつくり、「種馬公方」などと揶揄(やゆ)され、映画やドラマでは常に脇役扱いで、きちんとした評伝も見当たらない。しかし、歴代1位の50年という長い期間、将軍の座にあり、征夷大将軍と太政大臣を兼任したのも家斉だけだという。

 家斉時代は、とりわけ太平の世とされ、豪奢(ごうしゃ)な時代が醸した自由な気風の中で、歌舞伎や浮世絵などの文化が花開き、娯楽は庶民にまで浸透。明治時代に古き良き時代として懐かしがられたのも家斉の文化文政の世だ。

 徳川家の正史である「徳川実紀」で「遊王」と総括されるほど、のびやかな権力者生活を送った家斉のその人生と、彼が生きた時代をさまざまな視点から分析する歴史読み物。

(文藝春秋 850円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは