「財務省の『ワル』」 岸宣仁著

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 旧大蔵省(財務省)の官僚は、エリート中のエリートとの評価を得てきた。

 しかし、内閣制度発足から135年を経て、最強官庁にも制度疲労の波が押し寄せ、近年、不祥事が相次ぐ。その根底には明治以来、同省に地下水脈のように生き続ける「ワル」という精神風土があると著者は指摘する。

 省内でワルというとき、悪人の意ではなく、かつて旧制一高出身者が備えていた蛮カラ気質を指す。遊びも人並み以上にでき、したたかに出世の階段を駆け上がるワルが、組織の中枢を牛耳っていたことが不祥事の引き金を引いたというのだ。

 セクハラ疑惑の福田淳一元事務次官や公文書改ざんの佐川宣寿元国税庁長官、2人と同じ1982年入省組の破廉恥なエピソードをはじめ、ワルたちの行状を挙げながら、財務省の実態を暴く。

(新潮社 814円)

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