(11)千加が初めて持った淡い恋心
「與之助さん、千加です」
千加が伊勢崎町で錺職をしている與之助を訪ねたのは翌日だった。
「どうしたんだい、元気がねえし、顔色も悪いな」
與之助は金床の上で銀の細工をしていた手を止めて、千加を案じ顔で迎えた。
その背後の棚には、與之助が使っている錺職の…
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