著者のコラム一覧

増田晶文作家

1960年、大阪生まれ。同志社大学法学部卒。「果てなき渇望」（文藝春秋ナンバー・スポーツノンフィクション新人賞）でデビュー。著書に「稀代の本屋　蔦屋重三郎」「絵師の魂　渓斎英泉」「楠木正成　河内熱風録」「ジョーの夢」「エデュケーション」など多数。

蔦屋重三郎外伝～戯家本屋のべらぼう人生～

（21）軒先に吊られた浮世絵が揺れる

公開日：2024/07/01 17:00　更新日：2024/07/01 17:00

切り絵・小宮山逢邦

〈第2章〉　　　吉原の本屋

　重三郎は懐かしい絵を手にした。羽の生えた禍々しい化け物が飛び回っている。

「ダメだ、こりゃ」

　重三郎は赤面した。耳の奥で義兄の大笑いが響く。

「こうもりの風流踊りか？」

　あれは五年前のこと、十四歳だった重三郎は絵師を…

この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。

(残り1,297文字／全文1,438文字)

【連載】蔦屋重三郎外伝～戯家本屋のべらぼう人生～

前の記事（20）これはこうもりの風流踊りか？ 2024/06/28 17:00
次の記事（22）与八がこの大きな本屋の若主人 2024/07/02 17:00

この連載の一覧を見る