著者のコラム一覧
井上理津子ノンフィクションライター

1955年、奈良県生まれ。「さいごの色街 飛田」「葬送の仕事師たち」といった性や死がテーマのノンフィクションのほか、日刊ゲンダイ連載から「すごい古書店 変な図書館」も。近著に「絶滅危惧個人商店」「師弟百景」。

でこぼこ書店(北与野)地域に根差した新刊と古本と塾の3本柱の本屋

公開日: 更新日:

 埼京線北与野駅から、タワマンあり、中層マンションありの景色の中を歩いて到着。昨年11月にオープンした書店だ。

「ようこそ」とにこやかに迎えてくれた店主の富井弥さん(40)が、「新刊と古本と塾。3本柱の店です」とおっしゃる。ん? 塾?

「前職の経験から、本屋と教育を“かけ算”した事業をやりたかったので」

 その「前職」が大学や大学関連団体の職員で、働きながら東京大学大学院教育学研究科も修了したとのこと。「この物件が決まり、周辺をリサーチすると、教育意識の強い土地柄だったんです」と聞いて、「塾とは進学塾ね」と思ったが、それは間違い。

「むしろ(進学塾への)アンチテーゼみたいな塾」。つまり、日常の学習に課題を感じている子たちのサポートに軸足を置いた塾を2階で開いている。

ジャンルはあえて絞らず医学対談から絵本、まんがまで約5000冊

 その部屋が、塾のない時間帯は貸しスペース(30分500円)に。空いている時間は「自主学習でも休憩でも。どなたにも無料開放」ですって。

 書店スペースは、新刊を置く1階、古本を置く2階とも、それぞれ約8畳の広さで合計4000~5000冊がゆったりと。新刊の平台に、仲野徹・若林理砂「医学問答」、やなせたかし「何のために生まれてきたの?」、上野誠「短歌を楽しむ基礎知識」……。なかなかのチョイスだ。

「ジャンルはあえて絞っていない」そうだが、「ものすごくおすすめ」と五味ヒロミの絵本「ぱんぱんでんしゃ」を熱く語ってくれるわ、「あ、ちくま文庫のまんがアンソロジーシリーズが揃ってますね」と言えば、「そう。『孤独まんが』『温泉まんが』『貧乏まんが』……。山田英生さん、有名作家の知られていない作品も選んでいて、すごいんですよ」と編者をベタ褒めするわ。思わず、「富井さんとのおしゃべり、楽しいわ」と独りごちた。

 読書会やビブリオバトルとは一味違う、「人生に影響を与えた本」「旅に出たくなる本」などのテーマで、最大6人の参加者が“好きな本”を語り、共有する会が定期開催されている。

◇さいたま市中央区上落合7-10-39/JR埼京線北与野駅から徒歩13分/平日12~19時、土日祝日10~18時、月・火曜休み

ウチの推し本

「毎日テニスだけやってたら、年商2億の会社になりました。」増田吉彦著(クオル出版 1650円)

「タイトルの右肩に『[年間5000大会開催]インスピリッツテニスクラブ成功物語』とありますが、まさに。著者が母校に貸してもらったテニスコートでサークルを立ち上げ、毎日試合を開催していると人が集まり始め、日本一多くの試合を開催する会社になった実話です。やりたいことをひたすらやり続ければビジネスになると。福井の一人出版社が出した本です」

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