「雪夢往来」木内昇著

公開日: 更新日:

「雪夢往来」木内昇著

 寛永の頃、越後国の儀三治(ぎそうじ)は流行の俳諧に凝って、「牧之」という俳号を名乗っていた。江戸に行商に行って、人びとが越後国についてあまりにも知らないことに落胆する。柳橋の書塾を訪れたとき、越後ではどれくらい雪が積もるか聞かれて、「高さが一丈ほどになりましょうか」と答えたが、ほら吹きだと思われてしまった。

 越後の話を書いたら江戸の者に面白がってもらえるかもしれないと思いつき、山東京伝に書肆を紹介してほしいと頼む。雪が戸口を突き破って家になだれこむ様子など、越後の冬を描いた絵に、京伝は目を奪われる。

「北越雪譜」を著して越後の風俗などを紹介した鈴木牧之を描く時代小説。

(新潮社 2200円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  3. 3

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  4. 4

    “最強の新弟子”旭富士に歴代最速スピード出世の期待…「関取までは無敗で行ける」の見立てまで

  5. 5

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  1. 6

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  2. 7

    物価高放置のバラマキ経済対策に「消費不況の恐れ」と専門家警鐘…「高すぎてコメ買えない」が暗示するもの

  3. 8

    福島市長選で与野党相乗り現職が大差で落選…「既成政党NO」の地殻変動なのか

  4. 9

    Snow Manライブで"全裸"ファンの怪情報も…他グループにも出没する下着や水着"珍客"は犯罪じゃないの?

  5. 10

    今の渋野日向子にはゴルフを遮断し、クラブを持たない休息が必要です