「雪夢往来」木内昇著

公開日: 更新日:

「雪夢往来」木内昇著

 寛永の頃、越後国の儀三治(ぎそうじ)は流行の俳諧に凝って、「牧之」という俳号を名乗っていた。江戸に行商に行って、人びとが越後国についてあまりにも知らないことに落胆する。柳橋の書塾を訪れたとき、越後ではどれくらい雪が積もるか聞かれて、「高さが一丈ほどになりましょうか」と答えたが、ほら吹きだと思われてしまった。

 越後の話を書いたら江戸の者に面白がってもらえるかもしれないと思いつき、山東京伝に書肆を紹介してほしいと頼む。雪が戸口を突き破って家になだれこむ様子など、越後の冬を描いた絵に、京伝は目を奪われる。

「北越雪譜」を著して越後の風俗などを紹介した鈴木牧之を描く時代小説。

(新潮社 2200円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾