「その針がさすのは」羽田圭介著

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「その針がさすのは」羽田圭介著

 不妊治療中の水原毅志が中野ブロードウェイで友人と会ったとき、日満電信ケーブルの話題が出た。かつて陸軍中野学校から満州までケーブルが引かれていたが、そのケーブルが今も保管されていると。

 手術後の診察でアダルトDVDを見ながら精液を採取しようとしたら、女優の唇が「ボウリャクハマコト」と言っているように見えた。高級中古時計店で、自分が生まれた年に作られた3つの時間が表示できる時計を見て、同じ時間でもそれぞれを刻む時計の針が異なり、流れている時間の質自体が異なるのではないかと感じる。

 手術をきっかけに、住んでいる町の断絶した歴史と接続してしまった男を描くミステリアスな小説。 (新潮社 1925円)




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