(4)お糸さん…お願いがあるんだけど
糸は布団の端をつまみ、縫い目を確かめた。布団の側だけではなく、中の綿まで染みている。品川は海風が強く、まして乾燥した季節である。火の気を思わせる匂いに、糸の胸の奥がひやりとした。
「……この布団、他と分けておいておくれ」
伊兵衛がうなずく。
「干場の端に吊る…
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