著者のコラム一覧
カモシダせぶん書店員芸人

1988年、神奈川県生まれ。お笑いコンビ「デンドロビーム」(松竹芸能)のメンバー。日本推理作家協会会員。現在、都内の書店でも働く現役の書店員芸人。著書に「探偵はパシられる」など。

「都市伝説解体センター 断篇集 痕」/「都市伝説解体センター」(墓場文庫)、今村昌弘ほか6人著

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「都市伝説解体センター 断篇集 痕」/「都市伝説解体センター」(墓場文庫)、今村昌弘ほか6人著

 皆さんは出版社が作っているものと聞いて何が思い浮かぶだろう、ほぼ全員が紙の出版物と答えるはずだ。知っているだろうか、大手出版社の集英社が墓場文庫というゲームメーカーとタッグを組んで制作したホラーミステリーゲーム「都市伝説解体センター」が、今空前のヒットを飛ばしていることを。そのゲームの世界観をスピンオフとしてノベライズした本著も、オリコンランキング2位になるほど売れている。なかなかない新しいケースだ。

 まずはゲームの説明から入ろう。主人公の女子大生、福来あざみはほかの人には見えない「変なモノが見える」ことに悩んでおり怪しげな調査会社「都市伝説解体センター」に相談したところ、成り行きでセンターの調査員になってしまう。もう1人の調査員である女性ジャスミンと所長である廻屋渉とともに、怪異や呪物の仕業では? と噂される怪しげな事件に挑んでいく。彼女の持つ特殊能力が事件を「解体」し真相へと導いていくのだ。

 ネットで噂される新たな怪談とも言っていい「都市伝説」や現代のSNSの危うさも扱っているホラーミステリーで、ゲームでありながら現実の我々に密接につながる部分もある物語だ。

 ゲームの売り上げは3カ月で30万本を超えるメガヒット。日本ゲーム大賞では優秀賞と、集英社として大金星の結果となった。

 ほかのゲームに比べて書籍化になるスピードが段違いで速くクオリティーも高いのが集英社ゲームズならではだ。りぼんで漫画化もされているし、小説版も本著以外にも既に数冊出ている。

 本著はスピンオフ短編のアンソロジー形式なのだが執筆陣がかなり豪華だ。映画化され話題になったミステリー小説「屍人荘の殺人」の今村昌弘が書いた「ムラサキカガミ殺人事件」はタイトルからして真っ向推理物で読み応えがあったし、ホラー小説「かわいそ笑」や不穏さで大きく話題になった展覧会「行方不明展」などの作者、梨が書いた「N番目の臨時ニュース」はかなりの怖さと驚きに満ちた話で読み終わってもう一度読み返す完成度の高さだった。

 現在、原作のゲームはスマホにも移植しており、元々難易度も低い。私自身も作品のファンなのでぜひゲームも、そして本著も「買いたい」と気軽に思っていただければ幸いだ。 (集英社 1540円)

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