夏目かをる
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夏目かをる作家

秋田県大館市出身。立教大学文学部卒。出版社、テレビドラマ制作会社、絵本編集者を経てフリーとして活動中。恋愛婚活結婚コラム、映画コラムなど幅広く活動中。 「英語でリッチ!」(アーク出版)で第12回ライターズネットワーク大賞受賞 。新著は小説「ボディ・クラッシュ」(河出書房新社)。

母離れより影響大 宮沢りえの飛躍に坂東玉三郎の“父性”

公開日: 更新日:

■希有な女形の父性に育てられた

「マネジャーだった母親と別れて、ロスで自分を見つめ直したことが転機」と前述の川内氏が指摘するが、その前に大きな影響を及ぼした坂東玉三郎を忘れてはならない。

 歌舞伎役者の女形で演出も手掛け、世界的なアーティストと誉れ高い玉三郎は94年、舞台「天守物語」、翌年、同作品映画で宮沢と共演した。樹木希林や鳳蘭などの大女優が推した宮沢に、玉三郎も一目でアーティスト性を見いだした。

「ああ、ずっとこの人のそばにいれたらいいな。そばにいられたら、自分は何か高いものを見られるんじゃないかと思ったんです」という宮沢に、「彼女がこれからどうなっていくかということが、僕にとってはもっと貴重なんです。やっぱり彼女にはちゃんとした女優さんになってもらいたいし」と答える玉三郎(週刊プレイボーイ95年10月3日号)。アーティスト同士の強い信頼関係が、確かに存在した。

 希有な女形の“父性”によって育てられたおかげで、大輪の花を咲かせる素地が出来上がった。実に幸運な女優である。

【連載】芸能界を生きる女のサバイバル術

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