なまりで悩む斉藤暁を救う 先輩女優・吉田日出子の一言

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 言葉のイントネーション、アクセントを必死に矯正して稽古するけど、また怒鳴られる……。これが入団から半年ほど経っても、まだ続いていました。その一方で、時間を見つけてアルバイトに精を出さないと食っていけない。毎日ヘトヘトです。

 そんなある日、デコ(吉田日出子)さんがまだ駆け出しの私たち新人と一緒に共演してくれました。その時、なまりを矯正しようとすることばかり考えて、落ち込んでいる私に、「その気持ちでいいから」という言葉をかけていただいたのです。「役づくりはいい方向にいってるわよ」という意味だと私は解釈しました。そして、「私の役はなまりがあるのだ」と自分で決めたのです。

 こう思うと気持ちが楽になり、以前にも増して役づくりに集中していけました。デコさんは演技力の高さがとても評価された、当時のアングラ演劇界のカリスマ女優。自由劇場の創設者のひとりとして幹部の中でも別格の存在でした。入団してそれほど間がない僕にとっちゃ、まさに雲の上の人だけに本当にうれしかった。

■帽子を奪うシーンなのに帽子がない!

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