性被害者目線で撮影 「私は絶対許さない」和田監督に聞く

公開日: 更新日:

 一般に、こうしたシーンは逆に見る者の欲情を誘いかねないと危惧される。精神科医&映画監督として、このジレンマを乗り越えるべく採用したのがPOVだった。

「リアルすぎるので性被害者が見た際の心配もありましたし、実際に試写では途中退場する方もいました。しかし最後まで見た女性客はおしなべて高く評価してくれています。POVについては西川さんはじめ、一緒に“演技”しなくてはならないカメラマンや照明技師などスタッフも難しい撮影をよくこなしてくれた。こういう映画はスターシステムの大手映画じゃ絶対にできません。何しろ主演女優の顔が映らないんですからね」

 結果的にR18+のレーティングをつけられたがそれも覚悟の上。苛烈な暴力描写は、研究者・医師として最前線から性犯罪を見つめてきた和田監督の怒りを反映したものだ。

「じつはレイプそのものより、力で屈服されて無力感を感じたことが精神病理に一番悪い。つまり自責の念です。その点で怒りを感じるのが伊藤詩織さんの事件。加害者がメディア上で、彼女が仕事を漁りに来たというようなことを言っている。仕事が欲しい女性とセックスしていいというなら、それは完全にパワハラではないですか。妻帯者でありながら避妊もせずことにおよび、揚げ句、そんなことを堂々と世間の前で語る。ネット上ではそれを支持し、伊藤詩織さんを悪者のように言う人間も大勢いる。こんなことが許されていいわけがない。いま、この国は恐ろしいほどの男社会、それも権力者側の男社会になってしまっている」

 性被害者の実体験を精神科医が映画化する。他に類を見ない、怒りの問題提起だ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  2. 2

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  3. 3

    NHK3年連続赤字で番組制作費82億円カット…タモリもダーウィンも華大も豊臣もピンチ!

  4. 4

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  5. 5

    日テレが「news LOG」和久田麻由子を全面バックアップできない切実事情…佐藤栞里や有働由美子との決定差

  1. 6

    佐藤二朗vs橋本愛騒動が直撃! フジドラマ“出たくない俳優”&“見たくない視聴者”の二重苦

  2. 7

    椎名林檎と成田悠輔氏の親密デート発覚!「異色の超ビッグカップル」誕生も「いわくつき」と見られるワケ

  3. 8

    【5.独走態勢】「ミッドナイトフライト」「夜間飛行」が候補だったが、明菜が「北ウイング」を提案した

  4. 9

    「夫婦別姓刑事」とフジテレビの時代錯誤…“看板に偽りあり”のタイトルと「超・年の差婚」設定への嫌悪感

  5. 10

    元ボクシング世界王者・薬師寺保栄が妻に無断でレースQの愛人を「養女」に…妻が明かした苦しい胸中

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐藤二朗vs橋本愛騒動が直撃! フジドラマ“出たくない俳優”&“見たくない視聴者”の二重苦

  2. 2

    趣里が7月期テレ朝ドラマで出産後初主演 続く水谷家との「蜜月」で三山凌輝にも復活説

  3. 3

    萩本欽一〈24〉相方の坂上二郎さんとは「遊ばない・食事しない・夢を語らない」を徹底した事情

  4. 4

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  5. 5

    “キムタク効果”見込んだ吉野家の戦略は残念な結果に…ファンの間に沸き起こる「藤田ニコル復帰待望論」

  1. 6

    佐藤二朗騒動の余波!「福田組」の長澤まさみへの“ハラスメント”舞台挨拶の悪ノリ動画が再注目…女性視聴者は嫌悪

  2. 7

    ソフトバンク「佐々木麟太郎シフト」着々…同ポジションの中村晃引退、山川穂高二軍塩漬けが伏線

  3. 8

    「夫婦別姓刑事」とフジテレビの時代錯誤…“看板に偽りあり”のタイトルと「超・年の差婚」設定への嫌悪感

  4. 9

    萩本欽一〈25〉「車椅子でも絶対に明治座に出す」脳梗塞で左半身麻痺の坂上二郎さんを奮い立たせたひと言

  5. 10

    維新また猿芝居…国会空転トップ会談で定数削減法案に“白旗”も「今時点で取り下げない」と強がるワケ