性被害者目線で撮影 「私は絶対許さない」和田監督に聞く
15歳時の壮絶なレイプ被害とその後の人生を記した雪村葉子による手記の映画化「私は絶対許さない」(4月7日公開)。カメラを被害者の目線に置いた「主観映像(point of view=POV)」ショットで、観客に強烈な没入体験を強いる演出を用いた和田秀樹監督(57)が、その製作意図と性犯罪への怒りを語った。
■性被害者の実体験を精神科医が映画化
「もともと性被害やトラウマは精神科医としての僕の大テーマ。というのもアメリカ留学中に診た女性入院患者の多くが性被害、性的虐待を受けていたんです。日本がこんな国になったら嫌だなあという思いがあったんですが、その後、徐々に増えていってしまった。しかも診察やってる僕らから見ると“女から誘ったんじゃないか?”などと被害者が逆に責められる理不尽が世間に蔓延している。そんなとき葉子さんの原作を読み、観客がこの人の身になることができたら……と考え、主観撮影を思いついたんです」
大晦日の夜、中学3年生の葉子(西川可奈子)が地元のチンピラたちにさらわれ夜通し陵辱される冒頭の場面。ショッキングな映像が長時間続くが、カメラは終始、演じる西川の目線となり凶悪な暴力を映し出す。