前作ワンピース以上 新作歌舞伎の意義示した「ナルト」
歌舞伎座が「納涼歌舞伎」、新橋演舞場が新作歌舞伎「NARUTO―ナルト―」と、2劇場で若手が競い、新作も合計3作。そのなかでは「ナルト」が圧倒的に面白い。「ワンピース」に次いでの「少年ジャンプ」マンガの歌舞伎化だ。
ワンピースは歌のないミュージカルのようで、歌舞伎と呼ぶには違和感があったが、ナルトは現代に新作として作る意味のある歌舞伎となっている。パラレルワールドではあるが戦国時代が舞台で、忍者が主人公なので、ワンピースよりは歌舞伎の世界に近い。歌舞伎と銘打つのなら、昔の日本が舞台で、音楽は洋楽を交えてもいいが基本は邦楽にして欲しいので、この条件を満たす。現代風のスピーディーなアクションによって、歌舞伎が活劇であることを再認識させてくれた。
主人公のナルトは坂東巳之助、ライバルのサスケは中村隼人で、ともにワンピースに出演して注目された平成生まれの若手。ワンピースは尾上右近を含め、3人の若手をスターにしたわけで、若手育成における猿之助の功績は大きい。猿之助自身もナルトにはラスボス的な役で、毎日ではないが愛之助と交互に出演し、さらに猿之助一門の猿弥、笑三郎、笑也が若い3人を支えた。また、若女形の中村梅丸が見事に開花した。