先代円楽が熟考した「世の中で一番バカバカしい言葉」とは

公開日: 更新日:

 2001年5月、正式に入門した王楽は父親の好楽の弟弟子になった。

「自分の弟子にしなくてよかったです。王楽は師匠に気に入られて、いきなり10席も稽古してもらったんですから。めったに稽古をつけない師匠がですよ」

 好楽の顔がほころんだ。

 先代円楽は短気で、弟子を怒鳴るのが日常茶飯事だったが、好楽の息子の王楽だけは一度も怒られたことがないという。

「まあ、年齢的には孫みたいなもんですから。王楽は我々が恐れ多くて聞けないようなことも平気で尋ねる。そういう屈託のなさがよかったんですかね。ある時、『師匠にとって、世の中で一番バカバカしい言葉ってなんですか?』って聞いたらしい。すると師匠がしばし熟考して、『強いて言えば、許してチョンマゲかな』と真顔で答えたっていう。笑っちゃうでしょ。あたしに言わせりゃ、この師弟の会話こそ一番バカバカしい」

 その後、王楽はのびのびと育ち、春風亭小朝や笑福亭鶴瓶に可愛がられる。そして09年10月、入門わずか8年で真打ちに昇進した。私はその披露興行を見に行ったが、口上に連なる好楽のうれしげな顔が印象的であった。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁