在りし日の若松プロを映画に 愛弟子だった白石監督に聞く

公開日: 更新日:

 ただし、若松監督は、自分たちや近しい題材を描くことは好まなかったという。

「山岳ベースでリンチで殺された赤軍派の遠山美枝子は、『赤軍―PFLP 世界戦争宣言』(71年)を全国上映するための赤バス運動を準備しているとき、若松プロにボランティアとして出入りし、おにぎりを握っていたそうです。若松監督は自分がよく知ってる子が、無残な死を遂げたことに強い衝撃を受けていた。当初、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08年)の脚本には、とある映像プロダクションという柱があり、遠山がおにぎりを握る描写があったんですが、監督は切った。引っかかる部分があったんだと思います。それもあって弟子の僕たちが若松さんを描くことに迷いもあったんですが、この作品は、あくまでめぐみさんが主人公の青春劇。若松さんが絶対やらないことをやればいいのかなって」

 若松組から巣立ち、映画人として成功した者もいるが、志半ばで脱落した人は数知れない。

「それでも、めぐみさんや成功できなかった人たちの人生が輝いていなかったわけではない。みんな若松監督みたいな訳わからない人の下でカチンコ打って頑張っていたんです。そんな姿を撮りたかった」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋