巳之助と児太郎“平成代名残絵巻”で印象付けた世代交代宣言

公開日: 更新日:

 夜の部最初の「実盛物語」は、片岡仁左衛門が2007年以来の主演。尾上菊五郎の孫(寺島しのぶの子)寺嶋眞秀が、太郎吉を演じている。最初から最後まで舞台に出ており、セリフも多く、子役としては大役だ。

 仁左衛門は先月の「盛綱陣屋」では勘九郎の子、勘太郎と共演しており、2カ月連続して、自分の孫ではない子役と共演し、役者同士として正面から向き合っている。「芸の継承」がどうのという年頃ではないから、演じる感覚を、伝えようとしているのではないだろうか。70歳近い年齢差を感じさせない、真摯さがある。

 昼の部には「坂田藤十郎米寿記念」と銘打たれた舞踊劇もあるが、中身は何もなく、チケット代を取って見せるものではない。長寿はめでたいが、祝いたいなら自主公演をすればいい。

(作家・中川右介)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 3

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  4. 4

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  5. 5

    維新・藤田共同代表に自民党から「辞任圧力」…還流疑惑対応に加え“名刺さらし”で複雑化

  1. 6

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 7

    小野田紀美経済安保相の地元を週刊新潮が嗅ぎ回ったのは至極当然のこと

  3. 8

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 9

    「しんぶん赤旗」と橋下徹氏がタッグを組んだ“維新叩き”に自民党が喜ぶ構図

  5. 10

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み