邦画初登場1位に「AI崩壊」が込めた安倍政権への痛烈批判
国内の映画ランキングに異変アリだ。アナ雪やスター・ウォーズといったシリーズものや、人気漫画やミュージカルを原作とする話題作がひしめくなか、完全オリジナル脚本の邦画「AI崩壊」が1月31日の公開後、初登場1位を獲得。翌週も3位と大健闘しているのである。映画批評家の前田有一氏がこう解説する。
「いま邦画界は大作なき時代といわれ、鉄板の原作ものを抑えた予算でコツコツ当てていくだけのつまらない状況です。本作主演の大沢たかおもプレミアでの挨拶で“日本の映画界もすごくしんどい”と、そうした裏事情を思わず吐露したほど。なのに、リスキーな完全独自企画で勝負をかけた入江悠監督と製作のワーナーは称賛に値します。随所でドローンを使ったり、街中のロケ撮影にCGを加えて近未来のスケール感を出すなど予算以上に見せる工夫が見られ、よく頑張ったな、と好感が持てます」
■国民監視社会に警鐘
舞台は10年後の日本。全国民の健康状況を管理する医療AIシステムが暴走し、生産性が期待できない者を選別・殺戮し始める。大沢演じるシステム開発者が犯人と疑われ、街の監視カメラやネット、個人情報データを駆使した警視庁のAI捜査網に追われる展開に。AIを熟知する主人公が、警察側と互角の逃亡劇を演じつつ衝撃の真相に迫る本格サスペンスだ。