著者のコラム一覧
三遊亭鬼丸落語家

昭和47(1972)年生まれ。長野県上田市出身。平成9年、三遊亭円歌に入門。前座名は「歌ご」。平成12年、二つ目に昇進し「きん歌」に改名。平成22年、「三遊亭鬼丸」襲名で真打ち昇進。NACK5「ゴゴモンズ」メインパーソナリティー。

噺家は反権力でなければならないわけじゃないのですが…

公開日: 更新日:

「#検察庁法改正案に抗議します」がTwitterを席巻しました。ご存じのとおり三権分立の根幹を揺るがしこのコロナ禍に不要不急の、いやコロナ禍以降でも公正な検察人事制度に手をつけるべきではない悪法に対して多くの芸能人、文化人が声をあげました。人気稼業の歌手、俳優が政治的発言をすることはタブー視されてきた日本では画期的なことです。賛否両論あるのは当然でしょうが、一国民として職業に関係なく政治に注文することも当然の権利ですよね。

 そこで今回は落語家と政治的発言についてです。落語家はまず最初に師匠や先輩から「高座で政治、宗教、プロ野球の話はするな」と教わります。お客さまそれぞれにごひいきの政党、宗派、チームがあるのだからそれを揶揄して不快な思いをさせてはいけないという教えです。とはいえ、これは基礎中の基礎であってウケれば結果オーライというところもあります。要は大多数のお客が味方になって笑ってくれればオッケーという世界です。そもそも政治に対する噺家のスタンスなんて自分にプラスかどうかしかないんでね。

 噺家は世情のアラで飯を食いというぐらいですから多少の政治の乱れはネタみたいなものです。ただ多少はです。汚職をすれば逮捕され、怪しいだけでもテレビで連日の報道が当たり前だった頃と比べて「私や妻が関わってた」のに辞職せず、テレビ報道も常に及び腰。となると大多数の世論が生まれずネタにもしづらい。言っておきますが決して噺家は反権力でなければならないわけじゃないですよ。ただ意外と真面目で正義感が強く、困ってる人がいない社会になってほしいだけなんです。格差社会が広がり落語にお金を使えない人ばかりにならないように、真面目に働いてる人が息抜きに落語を見られる労働環境でありますように、悪いことして金儲けはうまくいかない落語の世界観が通じる社会、勧善懲悪の社会であってほしいだけなんですよ。だから私も#検察庁法改正案に抗議しま……#安倍辞めろです。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」