衝撃的過ぎる!「わたしは金正男を殺していない」の迫真度

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「映画の神が降りてきた」

 メガホンをとったのは、「おしえて!ドクター・ルース」(19年)など豊富な経験を持つドキュメンタリー作家のライアン・ホワイト。彼は、実行犯女性が生まれた貧しい集落の生家まで訪れ、家族や親類にもカメラを向けている。さらに北朝鮮の平壌を取材したり、暗殺当日のカメラ映像を3DCG化して分析し、8人もの北朝鮮工作員の動きを暴き出すなど、さまざまな角度から事件の再構築を行う。そこから浮かび上がるのは、貧しい女性の弱みにつけこみ、最悪の搾取が行われたバックストーリーだ。

「犯行直後に彼女たちが空港から逃げた事実や、VXガスのついた手をすぐに洗いに行った映像などが支える“確信犯説”に、映画はファクトの積み重ねで真っ向から挑みます。何より驚くのは、監督は死刑確実といわれた2人の裁判の判決前の時点で製作を始めたということ。つまり結果を知る前に作り出したわけですが、映画の結末はおよそドキュメンタリーとは思えない、計算されつくしたかのような完璧なエンディングです。映画の神が降りてきたとはこのことで、背筋がゾクッとしました」(前田氏)

 常識外れの暗殺事件は、あの後どうなったのか。断片的にしか知らない日本人には目の覚めるような作品だ。映画は10日から公開。

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