著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

山口洋子が結婚を考えた大本命は中日ドラゴンズ所属の「F」

公開日: 更新日:

 しかし、前出の女性誌には出会った経緯も詳細に書き記している。選手は中日ドラゴンズに所属するF。出会いのきっかけをつくったのは、名古屋に住む洋子の実父だったという。

 山口洋子は料亭を経営する資産家の父と、その料亭で仲居として働いていた母との間に生まれた非嫡出子だったことはすでに述べた。別に家庭を持つ実父と暮らすことはなかったが、上京して東映の女優になり、銀座でクラブを経営していた娘のことを父は何くれとなく気にかけていたらしい。中日球団の社長と親しかった父は、その縁でFとも面識があった。そこで「娘が東京でクラブをやっている。東京に行ったら店に寄ってやってほしい」とFに頼んだというのだ。親心だろう。贖罪の意味もあったのかもしれない。以降、Fは東京遠征のたびに「姫」に顔を見せるようになり、2人は恋に落ちたというのだから、事実は小説より奇なりである。

 それどころか、洋子はFとの結婚を真剣に考えるようになった。再び自伝からひく。

《あろうことか私は恋をしていて相手との結婚を願うあまり、念願の場所に店を持ちながらあっさり銀座を引いて一時休業してしまうからだ。いま考えても心底結婚するつもりがあったかどうか疑わしい。(中略)何かしら懸命に婚約者を演じていた気もする》(同)

 しかしFとの関係も、安藤昇と同様、唐突にピリオドが打たれることとなる。(つづく)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」