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二田一比古ジャーナリスト

福岡県出身。大学卒業後、「微笑」(祥伝社)の記者に。その後、「Emma」「週刊文春」(ともに文芸春秋)をはじめ、多くの週刊誌、スポーツ新聞で芸能分野を中心に幅広く取材、執筆を続ける。フリー転身後はコメンテーターとしても活躍。

福山雅治も苦言「芸能人の子供の取材」がNGとなった転機は樹木希林さん

公開日: 更新日:

 福山雅治が夫人の吹石一恵と子供の写真を掲載した写真誌に対して自身のラジオ番組で不快感をあらわに非難した話を検証する。

 女性誌全盛期、各誌はスクープ合戦を展開していた。熱愛や離婚、独自のスクープもあれば、定番企画で競うこともあった。そのひとつが女性タレントと子供の写真だった。

 通称「公園デビュー」と言われ、母子で初めて外出する先は近くの公園。のんびり過ごす母子の時間は女性誌にとっては格好のシャッターチャンスだった。好天の午前中が狙いだった。

 とはいえ、公園にふさわしくないカメラマンが日中の公園にいれば不審者扱いされ、警察に通報される騒ぎもあった。

「芸能人同士の場合、生まれる前から、まだ見ぬ子供の顔を想像した似顔絵をイラストにして載せることもあったほど過熱していた。事務所も出産後は性別・体重・名前を発表。山口百恵さんもそうでしたが、場合によっては退院時に病院前で親子スリーショットを撮らせてくれることもあった」(元女性誌記者)

 ステージで輝いていた歌手が、ドラマで熱演していた女優が、子供とのひとときに見せる母親の顔。それを一目見たいと思う読者に提供するメディアという図式だった。芸能界とメディアの間にもあうんの呼吸が成り立っていた一面はあった。

 転機になったのは樹木希林さんだったと思う。一人娘の也哉子さんがまだ5歳ぐらいだった。母子で散歩する遠目から隠し撮りした写真が女性誌のグラビアに載った。ほほ笑ましい美しい写真だったと記憶する。

「子供が誘拐されたら、掲載した雑誌に責任を取ってもらいます」

 別件の会見を自宅兼事務所で開いた樹木さんは開口一番、「子供が誘拐されたら、掲載した雑誌に責任を取ってもらいます」と強い口調で非難した。誘拐だけではない。幼稚園、学校に通うようになり、クラスメート以外の人にまで子供の顔を教えることになる。好奇の目にさらされ、いじめにもつながりかねない。

 それまで芸能人の子供も「有名税」の大義名分のもと、当たり前のように報じていた母子の写真。樹木さんの言葉は重く響き、次第に自重するようになっていった。

 子供の写真は病気報道にも似ている。以前、小林麻央さんのがん闘病を一部のスポーツ紙が報じた。夫の市川海老蔵は「公表するかどうか悩んでいた」ことから、報道を受けて緊急会見で明かすことに踏み切った。もしも、「病気を伏せたい」と海老蔵が考えていたら、この報道も非難されていただろう。

 熱愛などは事務所が否定しても事実を並べて報じるが、子供や病気の話は事実であっても、当人や家族の承諾を必要とするもの。それが芸能界とメディアの最低限のルールだと思う。福山も本来なら掲載した写真誌に抗議すればいいものを「子供の写真が撮られ、販売物となっていくのは黙って見ていられない」と言及した。希林さんに倣ったか。公言することで他のメディアや世間にも知らせる効果があった。実際、ネットでも報道を非難する声が大半を占めていた。

 芸能界には年齢や出身地等を「非公開」と明示する女優はいるが、子供は聞かない。生まれた子供の性別・体重・名前を公言しない人が増えているが、子供の取材はNGと理解すべきだろう。芸能取材の範疇も徐々にスリム化されてきたように思う。

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