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細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

新東宝のエースだった宇津井健が「大映移籍」の時に出した条件

公開日: 更新日:

 少年時代から石原裕次郎やカーク・ダグラスのような映画スターに憧れた白羽秀樹少年(のちの沢村忠)は、中学3年生の時、映画会社・新東宝のオーディションに合格。芸名は「城哲也」。高校時代だけで8本の映画とドラマに出演し、夢を掴んだかに見えたが、期待されたほど売れなかった。

「同級生何人かで白羽君の出た作品を見に行きました。なんて作品かは忘れちゃった。それにチョイ役だったから、どこに出たのか、よく見えなかったんです」(白羽秀樹の小中学校の同級生)

 当時の新東宝の上映作品を洗い出してみたが「城哲也」のクレジットは確認できなかった。名前すら載らない端役だったのかもしれない。映画マニアの知人に尋ねると「この頃の新東宝の作品は散逸している可能性があるから」と言った。というのも当時、新東宝の経営は悪化の一途をたどっており、「そのことと無関係ではない」というのである。

 白羽少年が新東宝に入社した1958年、映画「明天」の製作費、興行収入の一部横領の疑いで大蔵貢社長の自宅が家宅捜索、併せて特別背任で書類送検されている。新東宝が赤字経営に転落したのはまさにこの時期からで、社員や技術職の退職が相次いだ。社長の大蔵は東映の子会社である「第二東映」(ニュー東映)との合併を画策。一時は社名を「新東映」にするところまでまとまりつつあったが、程なく合併話は決裂してしまう。「日活にも合併を持ち掛けていたから」とも伝わるが、真相は定かではない。

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