著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

飯野矢住代誕生秘話<11>バンド活動費を矢住代が捻出してもジョニー吉長との同棲は幸せだった

公開日: 更新日:

 売れないバンドマン「ジョニー」こと吉長信喜と、原宿のマンションで同棲生活を始めた飯野矢住代に対し、「なぜ裕福な大学生と別れて、貧しいバンドマンと付き合うようになったのか」とマスコミはいぶかしんだ。「玉の輿を捨てるなんて、どうかしているんじゃないか」と書く記者もいた。無遠慮な質問が幾度も飛んだ。それに対し、矢住代は回答を避けるどころか、聞かれたことには何でも答えた。

「そりゃ、ミス・ユニバース日本代表という肩書きにつられて寄って来る男もいるわよ。そういう人は“オレはユニバースとやったぞ”と言いたくて迫ってくるんだけど、わたしはごらんのとおりふつうの女よ。そんな人の前では、わざと男っぽいシグサでガチャガチャさわぐとたいていは、ひょうしぬけしてまた離れていってしまうわ。(中略)

 だから、わたしに今までつきあってくれた人は、そんなガサツなわたしをちゃんとわかった上でつきあってくれたわけだから、いい人ばかりよ」(「平凡パンチ」1969年4月7日号)

 好奇の視線にさらされた2人の同棲だが、生活費は当然矢住代の収入から賄われた。そればかりか、ジョニーの所属するバンド「カニバルス」の活動資金もそこから捻出されたはずだ。スタジオ代、楽器代、移動費、ライブのチケットノルマ……。バンドを維持するのは思いのほか費用がかさむものである。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    清原和博氏が巨人主催イベントに出演決定も…盟友・桑田真澄は球団と冷戦突入で「KK復活」は幻に

  2. 2

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  3. 3

    99年シーズン途中で極度の不振…典型的ゴマすりコーチとの闘争

  4. 4

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  5. 5

    日銀を脅し、税調を仕切り…タガが外れた経済対策21兆円は「ただのバラマキ」

  1. 6

    巨人今オフ大補強の本命はソフトB有原航平 オーナー「先発、外野手、クリーンアップ打てる外野手」発言の裏で虎視眈々

  2. 7

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 8

    林芳正総務相「政治とカネ」問題で狭まる包囲網…地方議員複数が名前出しコメントの大ダメージ

  4. 9

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  5. 10

    角界が懸念する史上初の「大関ゼロ危機」…安青錦の昇進にはかえって追い風に?