著者のコラム一覧
吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<70>野崎幸助さんのミエで新装したピンクの壁、予算は2500万円

公開日: 更新日:

 彼が塀を造り直したきっかけは「紀州のドン・ファン」第1弾が出版されたあとにネットで別の家が掲載されたのが原因だ。グーグルマップで検索すると、同じ朝日ケ丘でも200メートルほど離れたところにある会社社長の豪邸を示した。それが気に食わなかったのだ。

 ドン・ファンの自宅は資産家とは思えないほど質素な2階建てで庭も広くない。もともと借金のカタに取った中古の家で、前の奥さんが内装を大幅に変えた結果、外観は日本家屋であるのに中は洋風テイストの不思議な空間になっている。垣根風の塀はところどころ壊れている部分があったので改装するのには反対はしないが、新装とはミエっ張りとしかいいようがない。

 もっとも、工事はなかなか進まなかった。

「ここが違う。ダメだ、やり直せ」

 ドン・ファンは業者に何度もダメ出しをし、そのうち中止すると言い出した。

「参りました。なんとか助けてくれませんか」

 施工会社の若いK社長はドン・ファンと仲が良く、自宅に招かれたりホテルの食事会に呼ばれていた。ドン・ファンの周りにいるのはお金のことしか考えないようなやからがほとんどだが、Kさんは温厚で知識もあり、私は仲良くさせてもらっていた。

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