骨太ドキュメント「コレクティブ 国家の嘘」モリカケと同じ腐敗構造を徹底暴露、投票前に見るべき映画

公開日: 更新日:

 2015年にライブハウス「コレクティブ」で27人が死亡する凄惨な火災事故が起きた。ところが助かったはずの37人が治療中に病院で次々と亡くなってしまう。この異様な事件を機に大手製薬会社の消毒薬に致命的な問題があったことが発覚する。映画は政治と医療業界の癒着構造を、複数の内部告発者、問題を追及すべく就任した新大臣、そして権力を恐れず戦うマスコミに密着して描き出す。

 驚くのはその取材力で、火災発生時の建物内部の映像や遺族の姿はもちろん、新聞社内の作戦会議や告発者との打ち合わせ、大臣が官僚を叱責する場面やその後に本音を吐露する姿までカメラに収めている。

「圧巻は彼らがガチで相まみえる記者会見の場面です。メディア側の質問をけむに巻こうとする政治家に対し記者たちは一歩も引かず、自前のデータを突きつけ反論します。日本ではNGの更問い(再質問)などは当たり前で、いいかげんな回答には指名もされていない別の社が間髪入れず反論するなど、報道陣が一丸となって戦っているのです。対する政府側もカンペなど持たずアドリブで徹底防戦するなど、非常に能力が高い。日本ではまずありえないハイレベルの攻防戦を見ていると、羨望と悔しさで涙が出てきます」

 報道の自由ランキングでルーマニアは48位と決して上位ではないが、日本はさらに下がる67位だ。予想外のラストシーンは決して他人事とは思えぬ衝撃。今月31日の衆院選に投票する前に見るべき傑作だ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    名球会入り条件「200勝投手」は絶滅危機…巨人・田中将大でもプロ19年で四苦八苦

  2. 2

    永野芽郁に貼られた「悪女」のレッテル…共演者キラー超えて、今後は“共演NG”続出不可避

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    07年日本S、落合監督とオレが完全試合継続中の山井を八回で降板させた本当の理由(上)

  5. 5

    巨人キャベッジが“舐めプ”から一転…阿部監督ブチギレで襟を正した本当の理由

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    巨人・田中将大が好投しても勝てないワケ…“天敵”がズバリ指摘「全然悪くない。ただ…」

  3. 8

    高市早苗氏が必死のイメチェン!「裏金議員隠し」と「ほんわかメーク」で打倒進次郎氏にメラメラ

  4. 9

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  5. 10

    三角関係報道で蘇った坂口健太郎の"超マメ男"ぶり 永野芽郁を虜…高畑充希の誕生日に手渡した大きな花束