著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

五木ひろしの光と影<14>所属レコード会社の事務員ですら三谷謙が専属歌手だとは知らなかった

公開日: 更新日:

「ねえ、三谷謙君の曲を一緒に作らない?」

 共に「全日本歌謡選手権」(読売テレビ)で審査員をつとめる山口洋子にそう言われた平尾昌晃は、即答しかねたが、あれこれ言われているうちに、うまく丸め込まれて首肯するよりほかなくなった。

「『大丈夫』『勝ち進めるわ』って洋子ちゃんは言うんだけど、はたしてそんなにうまくいくもんかね」

 平尾昌晃がいぶかしく思ったのも無理はない。真剣勝負を売りに高視聴率を叩き出していたこの番組において、山口洋子も平尾昌晃もこの時点では中堅、若手どころの作詞家と作曲家にすぎず、さほどの発言力もなかったからだ。

 平尾昌晃が抱く疑問と不安をよそに、三谷謙は順調に勝ち進んだ。3週目は「俺を泣かせる夜の雨」という、まったく知られていない曲を歌った。当然ながら場内の反応もいいとは言えない。それでも彼がこの曲を選んだのは、一条英一時代にリリースした曲だったからだ。苦しい時代の曲で作曲も自身が手掛けていた。日の目を見なかったこの曲をテレビの電波に乗せてやろうという意図にほかならず、彼なりの「レジスタンス」と言うべきかもしれない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    国分太一「すぽると!」降板は当然…“最悪だった”現場の評判

  2. 2

    石田ゆり子ブームは終わらない? ベリーショートに賛否、脱「奇跡の50代」でも人気加速

  3. 3

    国分太一コンプラ違反で「周囲が感じていた異変」…過去にはガングロに"変身”して問題起こした有名人も

  4. 4

    TOKIO国分太一「コンプラ違反」秘匿も次々に“セパ報道”で窮地に…復帰は極めて困難な道のりに

  5. 5

    「いっぷく!」崖っぷちの元凶は国分太一のイヤ~な性格?

  1. 6

    《ヤラセだらけの世界》長瀬智也のSNS投稿を巡り…再注目されるTOKIOを変えた「DASH村」の闇

  2. 7

    元女優・宮崎ますみさんは6年前から八ヶ岳山麓に移住しコメ作り 田植えも稲刈りも全部手作業

  3. 8

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  4. 9

    小泉進次郎「無知発言」連発、自民党内でも心配される知的レベル…本当に名門コロンビア大に留学?

  5. 10

    巨人阿部監督 グチるくらいならいっそ「4番・坂本勇人」はどうだろう…“進退の決断”含めた4つの理由