俳優・坂上忍さんが億単位の私財を投じ犬猫保護ハウス「さかがみ家」開設 その原動力とは

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「建物の建設が始まったのを見た時、『ヤベー、これはヤバイぞ』って。ここまで見通しが立っていないことを始めたことがないので怖さはあります。初年度は持ち出しでいいけれど、いつまでもじゃ困る。赤字は嫌いなので失敗はしたくないし、この子たちのこととなると失敗はできません。死ぬ気で経営を成り立たせたい」

 俳優・坂上忍さん(54歳)が8年間務めた「バイキングMORE」(フジテレビ系)のMCを卒業した直後の4月、飼育放棄などで保護された犬や猫を引き取り、里親へとつなぐ「保護ハウス」を千葉県袖ケ浦市にオープンさせた。すべて私財を投入。約1万5000平方メートルの土地に犬20匹、猫30~50匹を保護できる2階建ての「家」を造り、まずは“初級編”として犬6匹、猫10匹から運営をスタート。敷地内には広大なドッグラン、建物内に猫用のサンルームやキャットランも完備。欧米型のゆったりした保護環境を目指している。

■自分の名前を利用してでも利益を上げたい

ペットショップの片隅にいるのを見つけ飼っていた五男坊(犬)の『リク』を1年弱で死なせてしまって。保護施設の現状を調べていくうちに、この環境で大丈夫なのかな、善意のボランティアでは限界がある、と思った。殺処分ゼロを目指して無理して数を受け入れ、パンクしたり。動物の命を救うために一生懸命働いている人たちの生活を確保する形にもっていけるよう、経営の観点を入れ、ちゃんとした利益が出るようにしないといけない。僕は自分の名前を利用してでも利益を上げたい。それができたらフランチャイズ化も。いまの僕だからできる“反則技”です。ペットフードなどの共同開発の計画が進んでいます」

若いころの僕は決して良い飼い主ではなかった

 犬や猫をペットショップで買うのが当たり前の日本で「保護犬や保護猫を引き取ることも選択肢に入れませんか」と伝えていきたいと考えている。「手がかかる子はかわいい、って本当なんですよ」とほほ笑む。

「この『トキちゃん』(写真で坂上が膝に抱えているティーカッププードル)は繁殖犬として、子犬を産むだけ産まされて捨てられた。閉じ込め生活だったので、ケージに入れると、ものすごく吠える。歯もボロボロでごはんをふやかして手で与えないと食べない。半介護みたいですけど、それが楽しい。症状はそれぞれですが、みな人間に裏切られ、人間にかわいがられたいんだけれど、どこかトラウマを持っている。それを受け止め、その子に応じた接し方をすると、少しずつの変化がとてもうれしくなりますよ」

 私財投入は億単位と想定される。そこまでして、自ら保護ハウス運営に乗り出す原動力は何なのか。

「趣味もないし、仕事で人と知り合っていく流れの中でこっち(千葉県)に家を建てて動物と暮らして。動物が働く唯一の活力となって、頑張れてたようなところがあった。僕は若いころに犬を育てられなくて手放したことがあり、決して良い飼い主ではなかった。その贖罪のような気持ちでペットショップで安売りされている子を飼うようになり、そして保護犬を引き取って。ただ、それだけじゃないですね。フジテレビさんに『保護ハウスをやりたいんだけど』と企画提案し、まさか番組が実現すると思わなかったのが『やりましょう』となり、その時点で逃げられなくなった(毎週金曜放送中の『坂上どうぶつ王国』)。(交際している)彼女さんも『何とかなるよ』って。そうした人たちに助けられた結果ですね」

(取材・文=小塚かおる/日刊ゲンダイ

▽坂上忍(さかがみ・しのぶ) 1967年東京都生まれ。3歳で劇団に入団し、国民的子役として活躍。ドラマ映画、舞台に出演のほか、97年には映画監督デビュー。舞台の脚本・演出も手掛ける。2009年に子役育成のプロダクションを設立。近年はバラエティー番組に出演、MCも務める。自宅でも多数の犬猫と暮らしている。

▽「さかがみ家」 千葉県袖ケ浦市にオープンした一般社団法人の動物保護ハウス。総敷地面積は全体の3分の2を占める池を含め、約1万5000平方メートル。建物は2階建て、延べ床面積225平方メートル。1階は犬用で最大20匹を飼育できる。2階が猫用で30~50匹。ドックラン、キャットラン、猫用のサンルームを完備。スタッフが寝泊りできる部屋もある。隣接地にウイルスなどに感染した猫用の飼育棟の増設を予定している。

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