著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

NHK「ニッポン知らなかった選手権 実況中!」で「TVチャンピオン」を思い出す

公開日: 更新日:

 目立たない番組だが、見逃すには惜しい一本がある。火曜午後11時「ニッポン知らなかった選手権 実況中!」(NHK総合)だ。

 世の中には、業界団体内だけで開催されているコンテストが存在する。一般の人が目にすることのない、超専門的技術や驚きの特殊技能が披露され、競われている。番組は、そこにカメラを入れたのだ。

 たとえば、林業従事者による「木を切る」技術を競う大会。チェーンソー1台で、狙った場所に木を倒す「伐倒」や丸太の「輪切り」などで競い合う。求められるのは、正確さ、安全、速さの三拍子だ。

 また「包帯を巻くだけ」のコンテストもある。柔道整復師と呼ばれる人たちが、骨折や捻挫などの損傷部分を固定し、痛みを和らげるのだ。速さはもちろん、実用性や巻きの美しさも評価される。

 わずか4分の間に、肩の関節、人さし指、両足の関節など5カ所を固定していく決勝戦。ところが優勝候補の女性が包帯を落としてしまう。彼女はその時点で無念の失格だ。

 見ていて、往年の「TVチャンピオン」(テレビ東京系)を思い出した。何人もの「〇〇王」を生んだ人気番組だったが、大きな違いがある。あちらはテレビが設定した「競技種目」と「ルール」で競い合うエンタメだ。

 しかし、こちらは業界全体の発展を目的とするマジな大会。一見地味な内容と超難度テクニックの落差が快感を呼ぶ。

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