NHKはなぜ旧統一教会を実名報道に切り替えなかったのか? 経緯を知る局員は悔しそうに明かした
安倍元首相殺害事件によって明らかになっている旧統一教会と自民党との関係。その中でNHKの報道姿勢に疑問の声が上がっている。
最初は、旧統一教会を匿名にした報道だ。NHKも含めて主要メディアは「特定の宗教団体」という表現で報じ続けた。これについて私も当初は、当事者である旧統一教会が認めない以上、実名は難しいだろうと思っていた。捜査で得られた供述というのは、多くが警察・検察への記者の夜回り取材で得られて報じられるものだ。その中には事実と異なるものもある。それが訴訟に発展するケースもある。また、供述が事実だったとして、山上徹也容疑者が本当のことを語ったのかという点に疑問が残ることも間違いない。
では、どの段階で実名報道ができるのか? それは旧統一教会が山上容疑者の供述について、その事実を認めた段階だろう。当事者が認めた以上、匿名にする必要はない。その結果ということになるが、7月11日に教会側が記者会見を開いたタイミングでNHKも含めて主要メディアは実名報道に切り替えている。
ところが、NHKの複数の職員に確認すると実は、NHKは会見前に、その事実を確認していた。それは同じ日に報じたクローズアップ現代「安倍元首相銃撃 事件の“背景”に何が」の取材を進める中で教会が認めたものだった。これは番組内でも紹介されているが、教会は事前に文書で、明確に山上容疑者の供述にある事実を認めていた。