著者のコラム一覧
松尾潔音楽プロデューサー

1968年、福岡県出身。早稲田大学卒。音楽プロデューサー、作詞家、作曲家。MISIA、宇多田ヒカルのデビューにブレーンとして参加。プロデューサー、ソングライターとして、平井堅、CHEMISTRY、SMAP、JUJUらを手がける。EXILE「Ti Amo」(作詞・作曲)で第50回日本レコード大賞「大賞」を受賞。2022年12月、「帰郷」(天童よしみ)で第55回日本作詩大賞受賞。

「量」が絶対的担保として表現者の「質」の評価となった時代への挽歌

公開日: 更新日:

 日本初のコロナ感染者が確認されたのは2020年1月16日。坪内祐三はその3日前に61歳で逝った。2002(平成14)年から16年間、週刊SPA!で「文壇アウトローズの世相放談 これでいいのだ!」を一緒に担当した坪内さんとの関係性を著者は述懐する。

「保守論客で仲がいいとみられていたけど、実は多くの点で反りが悪かった。ただ二人とも『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである』という福田恆存の言葉を信条としていた」

 そうか、対談タイトル自体が保守論壇のアウトロー福田恆存へのオマージュだったのか。同時期にSPA!で連載していた自分はちいさな感傷をおぼえた。

 本の帯にもあるように、福田和也は「美食と痛飲」のイメージを背負ってきた。だが時に夜の街で見かけることもあったぼくの目には「鯨飲馬食」と映った。無論、飲食だけではなく著作数の夥しさへの嫌悪に近い感情が前提としてあったのだが。

 著者はこうも言う。「私の言う保守は政治イデオロギーではない。政治というよりは文化、文化の中でもより生活に密着した、日常茶飯事に関する文化に対して鋭敏であるということだ」と。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲