著者のコラム一覧
井上トシユキITジャーナリスト

1964年、京都市生まれ。同志社大学文学部卒業後、会社員を経て、98年からジャーナリスト、ライター。IT、ネット、投資、科学技術、芸能など幅広い分野で各種メディアへの寄稿、出演多数。

和田アキ子「トドみたいな…」発言 炎上の背景にあった“関西話法”への嫌悪感

公開日: 更新日:

「関西弁をまくし立てる」演者に苦言を呈するもの、関西ローカルで人気でも関東の番組には呼ばれない出演者がいることで、感覚や嗜好は一様ではないことを指摘するものなど、いつの間にか当たり前となった関西カルチャーの限界を指摘するものだ。言いたい放題、えげつない例えの妙といった関西独特の会話スタイルに実は食傷していたわけだ。

 たしかに、和田の発言にしろ、トドではなく漫画のキャラクターになぞらえて「ゴマちゃんみたい」と、「えげつなさ」をマイルドにしておけば、ここまでは叩かれなかったのかもしれない。

 ただ一方で、少しでも批判めいた言動に対して「失礼だ」「キャンセルだ」と全否定的に受け取る風潮が、このところ行き過ぎているように思える。「優しい世界」という、なれ合いやぬるま湯に浸るような人間関係を皮肉るネットスラングがある。現実世界が厳し過ぎて、優しいメッセージにこそ救われるというのはわかる。だが、マスコミや政治家、「上級国民」へネットの中だけで唾を吐き、安直な優しさに満足していい気になっていても現実は変わらない。ネットでいくら吠えたとて、権力者や上級国民などタフに生き残ってきた側のダメージは思ったほどでもないのだ。

 キチンとした本を読まなくなって、言葉に対する耐性や理解力と同時に、生き抜く底力も減退しているのだとしたら由々しき事態だ。言葉は世界への取っ手である。文字主体のネットコミュニケーションだからこそ、言葉が持つ意味と力に向き合いたい。(おわり)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  2. 2

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  3. 3

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  4. 4

    中居正広氏に降りかかる「自己破産」の危機…フジテレビから数十億円規模損害賠償の“標的”に?

  5. 5

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  1. 6

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  2. 7

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  3. 8

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  4. 9

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  5. 10

    長嶋一茂が父・茂雄さんの訃報を真っ先に伝えた“芸能界の恩人”…ブレークを見抜いた明石家さんまの慧眼

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも