トイレ掃除に打ち込む独身男の“悟りの境地”『PERFECT DAYS』ラストの笑みは何を物語るのか?

公開日: 更新日:

 この映画は殺人事件も熱烈なラブシーンもなく、ただ時間が流れていく。単調な展開だが、飽きることはない。気がついたら124分が経過していた。そんな密度の濃い作品だ。

 平山は毎朝明るくなった空を眩しそうに見上げ、同じ缶コーヒーを買って清掃作業に出かける。仕事場では「そこまでやるの?」と言いたくなるほど丁寧に便器を磨き上げる。トイレを介して見知らぬ誰かと三目並べを楽しむことも。仕事終わりには浅草駅地下の居酒屋に立ち寄り、店主の「おかえり」「おつかれさま」の言葉に癒されつつチューハイを飲む。

 昨日と変わらない日々の連続。彼は何者で、なぜこの暮らしを続けているのか。

 ヴェンダース監督は平山の過去を「有能なビジネスマンで、酒も大いに飲んだ」と説明。僧侶をヒントにこの人物造形を考案したという。

 平山の素性は劇中で明かされないが、家出してきたニコを妹(麻生祐未)が迎えに来る場面にヒントがある。妹は運転手付きの黒塗りの高級車でアパートに乗りつけ、「本当に清掃の仕事をしてるの?」と呆れたように言い、父親が存命であることを告げる。平山と父親の間に何らかの確執があったようだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    女性を巡る愛憎より友情が勝った永遠のバディー

  2. 2

    萩本欽一〈27〉坂上二郎さんは一番特別な人。あのボケは誰にもできないよ

  3. 3

    かつての「打率4割男」は期待外れで戦力外…西武・林安可は母国・台湾野手の低評価を覆せるか

  4. 4

    佐々木朗希と山本由伸は“抱き合わせ”だったのか…ドジャース入りの裏で「謎の日本人」が暗躍

  5. 5

    48年ぶり映画出演の由美かおるさんが語る 人生が変わった瞬間「11PM」「水戸黄門」エピソード

  1. 6

    佐々木麟太郎に「個別育成プログラム」…マーリンズ入りには低予算球団ならではの“うまみ”あり

  2. 7

    佐藤二朗の地上波ドラマはしばらく厳しいが…橋本愛の事態はもっと深刻

  3. 8

    佐藤二朗vs橋本愛ハラスメント騒動は「文春嫌い」「フジテレビ嫌い」「共産党嫌い」が絡み合うカオスに

  4. 9

    (3)「森保監督は『指揮官に必要な冷徹さ』を確固たる信念として持っています」

  5. 10

    小栗旬がハリウッド“資本”映画で主演も… トラウマ級の英語力と「スター」への高い壁