トイレ掃除に打ち込む独身男の“悟りの境地”『PERFECT DAYS』ラストの笑みは何を物語るのか?

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PERFECT DAYS(2023年 ヴィム・ヴェンダース監督)

 ヴィム・ヴェンダースがメガホンを取り、役所広司に第76回カンヌ国際映画祭の男優賞をもたらした話題作。渋谷区の17カ所のトイレを刷新するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」がきっかけで、当初はオムニバス作品の予定だったが124分の長編となった。

 東京でトイレ清掃員として働く平山(役所)は淡々と同じ暮らしを繰り返している。だが、平凡な日々は小さな喜びに満ちている。安アパートに一人で住み、古い音楽を聞き、休日に買った文庫の古本を読むのが楽しみ。フィルムカメラを携え、昼食後の公園で木々を撮るのを日課としている。平山にはもうひとつ楽しみがある。週に一度、美人ママ(石川さゆり)が営む居酒屋に立ち寄ることだ。

 若い清掃員のタカシ(柄本時生)は平山の丁寧な仕事ぶりに一目置いている。タカシはガールズバーに勤めるアヤ(アオイヤマダ)にご執心で、バーで遊ぶカネ欲しさに平山が大切にしている古い音楽カセットテープを売ろうと持ちかけるが、平山は拒否。代わりにタカシにカネを渡す。

 そんな折、平山が仕事から帰ると、家出してきた姪のニコ(中野有紗)がアパートの前で待っていた。伯父と姪の奇妙な同居生活が始まるのだった……。

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