トイレ掃除に打ち込む独身男の“悟りの境地”『PERFECT DAYS』ラストの笑みは何を物語るのか?

公開日: 更新日:

 このように平凡な暮らしの中にいくつもの変化が起きている。我々サラリーマンはつい「毎日同じように働いて退屈だ。俺の人生は平凡すぎる」などと自嘲ぎみに語りがちだが、果たしてそうだろうか。その日その日を振り返ればいくつもの変化に遭遇していることに気づくものだ。退屈と感じるのは日々の出来事に目を留めないからにほかならない。

 変化の象徴が劇中で繰り返し映し出される木漏れ日だ。平山がカメラを向ける木漏れ日は大気の揺れに身を任せて千変万化のうつろいを見せる。一度として同じ表情を見せることはない。彼が木々に向けてシャッターを切る場面は日常にある変化の法則を暗示しているのだろう。

 この作品は人間は何歳になり、どんな境遇にあっても人生を楽しむことができるのだと語っている。生の歓喜にはたゆまぬ変化が潜んでおり、それが人生に芳醇な味わいを与えてくれるのだ。

 そういえば幕末の英雄・高杉晋作は今際の際に「おもしろきこともなき世をおもしろく」と辞世の句を読み、意識が朦朧となった。そこで野村望東尼(ぼうとうに)という女性が下の句に「すみなしものは心なりけり」と付け加えた。晋作は「面白いのぉ」と呟いて27歳の命を閉じた。気持ちのありようで幸せは決まるということだろう。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渋野日向子×テレ東イケメンアナ“お泊り愛”の行方…女子プロは「体に変化が出る」とも

  2. 2

    『SHOGUN 将軍』シーズン2撮影中の榎木孝明さん「世界的な時代劇映画のプロデュースに関わりたい」

  3. 3

    ヘタクソ女子プロはすぐバレる!ツアー史上最短「98ヤード」の15番のカラクリ

  4. 4

    サバンナ高橋茂雄いじめ謝罪のウラ… 光る相方・八木真澄の“ホワイトナイト”ぶり 関西では人柄が高評価

  5. 5

    《タニマチの同伴女性の太ももを触ったバカ》を2発殴打…元横綱照ノ富士に大甘処分のウラ側

  1. 6

    あの細木数子をメロメロにさせて手玉に…キックボクサー魔裟斗のシタタカさ

  2. 7

    SixTONESが日テレ「24時間テレビ」出演発表で次に“熱愛”が撮られるメンバーとファンが喜べない事情

  3. 8

    犯人探しはまだまだ続く? 中山功太案件“解決”で強まる「パンサー尾形の件は誰なの?」の疑問

  4. 9

    小結高安を怒らせた? 横綱豊昇龍が初日黒星でいきなりアクシデント→休場の自業自得

  5. 10

    消えないナフサ供給不安、現場にはモノ届かず…高市首相4.16明言「目詰まり解消」はやはり大ウソだった