映画「ぶぶ漬けどうどす」に見る京都人の二面性 本当は恐ろしい老舗の女将さんたち

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“はんなり”はずが裏側はドロドロ

 監督は「白鍵と黒鍵の間に」の冨永昌敬。脚本は「そばかす」のアサダアツシが7年かけて練り上げた。アサダはチャレンジングな作品を目指し、敬愛する「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年)のような、主人公が実体のない何かにとらわれていく物語を思いついたという。脚本の最終稿は当初よりホラーテーストが薄れたそうだが、それでも序盤はミステリアスなタッチで展開する。つかみは上々だ。

 まどかをずらりと取り囲む梓(片岡礼子)ら落中の女将さんたちはにこやかに笑うものの、その言葉は手厳しい。しかも外から来た女将と根っからの京都人の女将が入り乱れ、まどかの目前で露骨に互いを威嚇し合う。いやはや女は恐ろしい。というか京都の女は怖いですなぁ。

 外国人にも日本人にも観光地として一番人気の古都は、その京都言葉から多くの人が“はんなり”の印象を抱いているはずだが、実は裏側はドロドロ。まどかの夫がぼそりと漏らす「京都はキミが思ってるようないいところじゃないから、調子に乗らないほうがいい」というセリフが問題の根っこを物語っている。しかもこの古き町を切り売りしようとする部外者もいるから話は複雑だ。そうした入り組んだ人間関係を冨永監督は96分のシニカルコメディーにまとめ上げた。

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