映画「ぶぶ漬けどうどす」に見る京都人の二面性 本当は恐ろしい老舗の女将さんたち

公開日: 更新日:

“はんなり”はずが裏側はドロドロ

 監督は「白鍵と黒鍵の間に」の冨永昌敬。脚本は「そばかす」のアサダアツシが7年かけて練り上げた。アサダはチャレンジングな作品を目指し、敬愛する「ローズマリーの赤ちゃん」(1968年)のような、主人公が実体のない何かにとらわれていく物語を思いついたという。脚本の最終稿は当初よりホラーテーストが薄れたそうだが、それでも序盤はミステリアスなタッチで展開する。つかみは上々だ。

 まどかをずらりと取り囲む梓(片岡礼子)ら落中の女将さんたちはにこやかに笑うものの、その言葉は手厳しい。しかも外から来た女将と根っからの京都人の女将が入り乱れ、まどかの目前で露骨に互いを威嚇し合う。いやはや女は恐ろしい。というか京都の女は怖いですなぁ。

 外国人にも日本人にも観光地として1番人気の古都は、その京都言葉から多くの人が“はんなり”の印象を抱いているはずだが、実は裏側はドロドロ。まどかの夫がぼそりと漏らす「京都はキミが思ってるようないいところじゃないから、調子に乗らないほうがいい」というセリフが問題の根っこを物語っている。しかもこの古き町を切り売りしようとする部外者もいるから話は複雑だ。そうした入り組んだ人間関係を冨永監督は96分のシニカルコメディーにまとめ上げた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  2. 2

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 3

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  4. 4

    国分太一の先行きはさらに険しくなった…「答え合わせ」連呼会見後、STARTO社がTOKIOとの年内契約終了発表

  5. 5

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  1. 6

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  2. 7

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  3. 8

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  4. 9

    AKB48が紅白で復活!“神7”不動人気の裏で気になる「まゆゆ」の行方…体調は回復したのか?

  5. 10

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも