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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

タモリ、浅井慎平、山下洋輔…昭和という時代が引き合わせた「狂気」の交流

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 夜になると、どちらが誘うともなく近くの居酒屋やバーに出かけた。2人は「まるで学生のように連れ立って、話すことに困らずよく喋った。共通のテーマはモダンジャズ」(同前)だった。

 タモリは多趣味で有名だが、一時期写真にものめり込んでいた。きっかけのひとつは浅井の仕事について行ったことだ。ただ見に行くのでは面白くないからと、「謎の写真家の巨匠」になりすました。セッティングを終えると浅井が「こんなもんでどうでしょう?」とタモリに聞きにくる。タモリは「ウン」とうなずくだけ。現場の人間は一体誰なんだと混乱する(日本テレビ放送網・タモリ著「今夜は最高!」82年3月31日)。それを面白がっていたのだ。そんなことをしながらも「(浅井の)弟子よりも(写真を)教えてもらった」(テレビ朝日系「徹子の部屋」12年12月27日)と笑う。

昭和という時代が、たまたま会わせてくれた人たちが何人かいた。それが、(山下)洋輔さんやタモリだった」(「産経新聞」21年12月27日)と浅井は言う。そうした交流の果てにふたりは、いまや“伝説”と評される映画を生み出す。浅井慎平が監督を務め、タモリが主演した82年公開の「キッドナップ・ブルース」(東宝)だ。浅井慎平は“あの時代”をこう振り返っている。

「昭和という時代は“狂気”を見せることを求めた。普段、隠している狂気を見せることが、すなわち“表現”だった。洋輔さんはピアノで、タモリはあの形で、その狂気を見せた」(同前)

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