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桧山珠美コラムニスト

大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」に「今月のダラクシー賞」を長期連載中。

綾瀬はるか主演「ひとりでしにたい」は良質なコメディーだ

公開日: 更新日:

終活」「孤独死」とテーマは激重だが、それを深刻ぶるのではなく、コメディータッチで描いているところがこのドラマの真骨頂といえる。

 深刻な話を悲愴感漂わせ、重々しく見せるのはアホでもできる。深刻な話を明るく、なんなら笑いの一つもとろうという気概を買いたい。

 そもそも、カレー沢薫の原作自体が「笑って泣ける終活漫画」。その世界観を踏襲し、シュールでブラックユーモアの効いたコメディーにした大森美香の脚本もよし。

 ただし、俳優を間違えればただのうすら寒いものになりかねないが、一級のコメディエンヌの綾瀬はるかがいい仕事をしてる。

 初回では推しのアイドルの映像を見ながら一緒に歌ったり踊ったり。かと思えば、「笑う犬の冒険」のコントのはっぱ隊のように、裸(肌色の下着を着用)の股間に葉っぱをつけた姿を見せるなど文字通り、体を張る場面も多数。

■視聴者を笑わせるのは難しい

 闇落ちしかけた鳴海の妄想中にまとわりつく謎の妖怪が麿赤兒(山海塾ふうな全身白塗り)だったり、考え抜かれたおふざけに目が離せない。松坂慶子も綾瀬に負けないコメディエンヌぶりを発揮。こちらもヒップホップダンスを披露するなど体を張っている。2人とも天然系だからコメディーと相性がいいのだろう。視聴者を泣かせるのは簡単だが、笑わせるのは難しいもの。コメディエンヌとして思い浮かぶのは小芝風花多部未華子川栄李奈安藤サクラ木南晴夏あたりだが、綾瀬は別格。いずれ彼女を主役にした寅さんをやってもらいたい。

 世知辛い世の中だからこそ良質なコメディーを期待したい。

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