尾崎豊「ジェームス・ディーンのように」(1)単なる“反逆のミュージシャン”ではなかった

“反逆する十代の旗手”とも評された伝説のシンガー・ソングライターの尾崎豊は、高校在学中にデビューし、悩める若者たちの心をとらえ、あっという間にカリスマとなった。しかしその純粋さとかたくなさを貫き通したため、あたかもブレーキのきかないフォーミュラカーのごとく次々に周囲と衝突。ある夜、大量に酒を飲んだあとで、突然、錯乱状態におちいり、二十六歳で死んだ。
その命の短さゆえに尾崎のカリスマ伝説は輝きを増した面があるかもしれない。フォークシンガーの岡林信康は尾崎の死を自分の人生に重ね、「ジェームス・ディーンにはなれなかったけれど」という歌をつくった。