尾崎豊「ジェームス・ディーンのように」(3)晩年の豊には博愛主義とは裏腹の物悲しい孤独感がつきまとった
尾崎豊は一九八七年十二月二十二日、覚醒剤使用で逮捕された。豊の兄・尾崎康が書いた「弟尾崎豊の愛と死と」によれば、豊が初めてドラッグに手を出したのは、八六年秋からのアメリカ滞在中のことだったという。
その間、豊はときおり帰国して家族に顔を見せていたが、まず母親が異変に気づいた。ドラッグ使用について問うと、豊は否定も肯定もしなかった。家族の期待は、ともかく日本に帰ればドラッグと縁が切れるに違いないという一点だった。
しかし、八七年一月に帰国したあとの豊はますます深刻な状態におちいった。家族の前で幻視・幻聴に襲われ、暴れまわったことさえあるという。家族と豊の一年間にわたる壮絶な戦いのあと、ついに家族は決意した。


















