M-1王者「たくろう」はツッコミが存在しない独自の漫才スタイルを確立した
彼らの漫才が決定的に進化したのは、赤木のキャラを最大限に生かすフォーマットを見つけた点にある。赤木がリングアナやアメリカ人のように「自分に向いていない役割」を強引に押し付けられることによって、おどおどして変なことを言ってしまう面白さを際立たせることに成功した。
漫才の構造も画期的だった。漫才はボケとツッコミの応酬が基本だが、彼らの漫才にはツッコミが存在しない。赤木の発言がどれだけズレていても、きむらはツッコんだり訂正したりせず、淡々と次の話を振っていく。この冷淡さが赤木の不安や戸惑いを増幅させ、観客の笑いを連鎖的に呼び起こしていた。
赤木は普段から誰かと会話している最中に別のことを考えてしまうようなタイプだという。そんな彼のキャラクターをそのまま漫才に生かしているからこそ、赤木の言葉には「本当に困っている人」のようなリアリティーが宿っていた。
キムタクやイチローのような絶対的スターに憧れていた2人が、独自の漫才スタイルで「M-1」を制して、漫才界の星として輝き始めた。 (つづく)


















