久米宏はなぜ一人「反権力」を貫けたのか

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ニュース番組である限りキャスターのコメントには一つの方向性が必要だ。どこに軸足を置くか。ひと言でいえば、それは『反権力』だ。

 メディア、特にテレビや新聞報道の使命とは、時の権力を批判すること以外にはないと僕は信じている。マスメディアが体制と同じ位置に立てば、その国が亡びの道を歩むことは、第二次世界大戦時の大本営発表を例に出すまでもなく歴史が証明している。現政権がどんな政権であろうが、それにおもねるメディアは消えていくべきだ」

 1月1日に亡くなった久米宏(享年81)は自著「久米宏です」(朝日文庫)でこう書いた。

 この久米の志を、今のニュースショーのキャスターたちは、誰一人受け継いでいない。

 今という時代は、久米がキャスターをやっていた時代より、さらに政治が混迷し、右派勢力が台頭してきている“危険な時代”である。

「ジャーナリズムが今ほど無力な時代はない」「この国の言論の自由は失われた」

 私はそう思っている。こういう時こそ、久米宏が必要なのに、彼はもういない。

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