著者のコラム一覧
増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

萩本欽一〈18〉テレビ初出演で「やっぱり向いてない」と落ち込む欽ちゃんを思い直させた一通の手紙

公開日: 更新日:
 「黙って手を振るだけ」(C)日刊ゲンダイ

 作家・増田俊也氏による連載、各界レジェンドの生涯を聞きながら一代記を紡ぐ口述クロニクル。待望の第2弾は、「視聴率100%男」として昭和のテレビ界を席巻したコメディアンの萩本欽一氏です。

  ◇  ◇  ◇

萩本「面白い話すると、僕の計算でいうと優れてるっていう人は世の中にだいたい2割ぐらいしかいなくて、あとの80%はだいたい間抜け。で、間抜けの中で自分が間抜けって気づいてるのが20%しかいないんですよね。でも私の中では、ダメなやつほどダメじゃないっていうのがあるの。たまたまあの走る時、そう言って走ったんですけど」

増田「24時間テレビのマラソン企画ですか」

萩本「はい。だから私の中では、もともとダメな私がなぜこんなにうまくいったかっていうと、運と恩返し。この2つしかない」


増田「なるほど」

萩本「だから後に『欽ドン!』や『欽どこ』でたくさんの若い素人を番組に出したのもそういうこと。ダメなやつほど実はダメじゃないんです。まあ正直言うと、僕、有名人とやると上がっちゃってできないというのもあるんだけど。で、素人とやるとね、うまくできないよね、素人だから。俺がやらなきゃいけないと思うとね、おかしいこと面白いことがバババッって出てくんの。ええ、ですから私は素人に成長させてもらったんですよね。初めて55号が有名になったのが『お昼のゴールデンショー』*っていう番組だったんですけど」

※『お昼のゴールデンショー』:1960年代後半にフジテレビ系で生放送された昼のバラエティー番組。中心出演はコント55号。当時としては異例の人気番組で、昼の時間帯にもかかわらず視聴率が猛烈に高かった。まだ「テレビの昼番組=主婦向けの静かなもの」という時代に、コント55号は“暴走する舞台テンポ”を持ち込んだ。カラーテレビ普及、高度経済成長、万博前夜で、日本社会全体が“速度”を上げていた。コント55号の芸は、その加速度と非常に相性が良かった。

増田「はいはい。初めて出た番組」

萩本「そうです。有名人がいっぱい出てて、番組の最後にワーッと並んで、みんなで客席やカメラに向かって手を振ってお別れをする。そんとき、二郎さんはね、とっさに前に出てって、真ん中でね、まだ面白いことをやってんのよ。俺はね、そういうのがダメなんですよ、恥ずかしくて。並ぶとね、一番どん尻入っちゃうんですよ。後ろの方で隠れるようにして黙ってた。二郎さんがやってくれてるからいいやと思って前出てやろうって気が全くなかったわけ。遠くの方でさよならって手振って黙ってるだけ」

増田「シャイなんですね」 

この記事は有料会員限定です。
日刊ゲンダイDIGITALに有料会員登録すると続きをお読みいただけます。

(残り1,292文字/全文2,400文字)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    サッカーW杯でもクッキリ…中国企業の存在感は高まるばかり

  2. 2

    高市早苗が「2025年のバカ」第1位!不名誉トップ10に麻生太郎、“ウンコにタカる銀蠅議員”らがランクイン

  3. 3

    暴言LINEを連投、水をぶっかけ…良ちゃんに懸念されていた過去の「奇行」 鬼越vs渡部騒動で分かれた明暗

  4. 4

    【スクープ第6弾!】衆院選中の違法「広告動画」疑惑 大阪自民17陣営にも大量発覚

  5. 5

    星野監督は開口一番に「引退勧告」 俺が“邪魔な存在”であるとヒシヒシと伝わってきた

  1. 6

    佐々木朗希に付いて回った“タンパリング疑惑”…ドジャース以外の29球団は「そこまでやるか」と激怒した

  2. 7

    巨人・橋上監督代行“地固め”着々で次期監督にんまり? オーナー評価は「あくまでコーチ」

  3. 8

    松尾雄治さん(1)ゴルフ場で意識を失う…「気が付いたら病院のベッドでした」

  4. 9

    高市首相2カ月ぶり党首討論「嘘と居直り」のデタラメ60分…国民民主に猫なで声、公明には高圧

  5. 10

    ドジャース大谷翔平“満身創痍”の深刻度…本人が「ムリ」と判断し前半戦最終登板と球宴を回避