実質賃金“マイナス地獄”が止まらない…日銀の利上げ観測も焼け石に水、庶民生活はさらに苦しく
日銀が来週18、19日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に引き上げるとの見方が強まっている。円安・物価高の抑制に向けた動きだが、今月の利上げを示唆した1日の植田日銀総裁の講演後も、為替相場は1ドル=155円台に張り付いたまま。円安基調に歯止めがかからなければ、物価上昇圧力へとつながり、実質賃金のプラス転換は遠のくばかりだ。
■10カ月連続のマイナス
厚労省は8日、10月の毎月勤労統計調査(速報値)を発表。物価の変動を反映した実質賃金は前年同月比0.7%減で、10カ月連続のマイナスとなった。昨年6~7月、同11~12月のボーナス月を除き、約3年もマイナス圏をさまよっている。
一向に「賃金・物価の好循環」は見えず、円安・物価高に庶民生活は苦しくなるばかり。いよいよ日銀も「インフレファイター」として、約1年ぶりの追加利上げに重い腰を上げるが、焼け石に水の感は否めない。金融ジャーナリストの森岡英樹氏が言う。
「市場はすでに利上げを織り込み済みで動いており、サプライズ感もない。為替や物価への影響は限定的でしょう。持続的な利上げの姿勢を見せるために、植田さんは総合的に判断するという前提で『上げる時は上げる』とのメッセージを出すと思いますが、市場がそれを強気と見るかどうか。日銀が利上げする一方、米FRB(連邦準備制度理事会)は今週にも『利下げ』に踏み切る可能性があります。内外金利差が縮まるので、多少は円高に振れるかもしれませんが、円安基調に変わりはないと見ています」


















